昨日の朝、ビクトリー君に誘われるようにして、久しぶりに浅草寺のおみくじを引きました。もちろん、ビクトリー君が百円玉を持っていたわけではありませんよ。鳩に小銭まで持たせたら、それこそ浅草の新名物になってしまいますからね。
それでも、いつものようにおみくじの棚のあたりへ飛んで来て、「今日は一本引いてみたら」とでも言いたげな顔をするものですから、あほまろもその気になってしまったのです。
百円を納め、おみくじの筒を振って出て来た番号は、第九十六番。引き出しを開けてみると、なんと、「大吉」ではありませんか。
大吉と分かっただけでも十分うれしいのですが、そこには次のような難しい漢詩が記されておりました。
鶏逐鳳同飛
高林整羽儀
棹舟須濟岸
寶貨滿船歸
う〜ん、漢字は読めても、意味となるとさっぱり分かりません。そこで秘密基地に戻ってから調べてみると、これがなかなか面白い内容だったのですよ。
最初の一句は、
「鶏逐鳳同飛(けい、ほうをおいて、ともにとぶ)」
「鶏が鳳凰を追い、ともに飛ぶ」という意味です。
鶏という鳥は、鳩のように空高く飛び回る鳥ではありません。それでも、鳳凰という優れた存在を追い、その後について行けば、ついには同じ空を飛ぶことができる。
つまり、優れた人を友とし、その人に学びながら進んでいけば、自分もまた高いところへ到達できるという譬えなのでしょう。
おみくじの説明にも、身分や徳のある立派な人を友として、その人について行けば自らも出世する、という趣旨のことが記されております。
なるほどね。でも、あほまろはここで笑ってしまいましたよ。昨日、このおみくじを一緒に引いた相棒は、よりによってビクトリー君という一羽の鳩なのです。鶏ではありませんけどね(笑)。
それでも、
「鳥が鳥を追って、ともに飛ぶ」
という一句が最初に出てくるのですから、偶然とはいえ出来すぎています。観音様も、なかなか洒落たことをなさるものですよね。
続く、「高林整羽儀(こうりん、うぎをととのう)」
これは、高い林へ至り、そこで羽を整え、立派な姿を整えるという意味に読むことができます。
高いところまでたどり着いたからといって、それで終わりではありません。そこで羽を整え、次に進むための身支度をする。
人生も同じなのでしょうね。
そして三句目は、
「棹舟須濟岸(ふねにさおさして、すべからくきしをわたるべし)」
舟に棹を差して進めば、やがて岸へたどり着く。
舟は岸に置いて眺めているだけでは、いつまで経っても向こう岸には着きません。自分で棹を持ち、水を押し、少しずつでも進まなければいけないのです。
そして最後が、
「寶貨滿船歸(ほうか、ふねにみちてかえる)」
目的を果たして帰ってくるときには、舟いっぱいに宝物を積んでいるというのです。この最後の一句を読んだとき、あほまろは、ちょっと考え込んでしまいました。
なぜなら今、あほまろは二十六年間にわたって書き続けてきた日記と、撮り続けてきた膨大な写真を読み返しながら、『浅草は、朝が深い』という一冊の本にまとめようとしている真っ最中だからです。
毎日毎日、古い日記を開いては、
「こんなこともあったな」
「あの人はどうしているだろう」
「この建物は、もう無くなってしまったな」
などと思いながら、二十六年前の浅草と、今朝の浅草との間を行ったり来たりしております。
正直なところ、二十六年分というのは、とんでもない量なのですよ。自分で書いたものなのに、読んでも読んでも終わらない。まるで、若い頃のあほまろが、未来のあほまろに向かって、
「八十歳になる頃に、まとめて苦労してくださいね」
と、毎朝せっせと宿題を残していたようなものです。昔の自分ほど始末の悪い編集者はいませんね。
しかし、このおみくじの最後には、
「寶貨滿船歸」とあるのです。
舟いっぱいに宝を積んで帰る。そう考えてみると、二十六年間の日記を読み返す作業も、ただ昔の文章を整理しているだけではないような気がしてきました。
そもそも「宝貨」というものは、お金や高価な品物だけを指すものではないでしょう。
あほまろにとっての宝とは、毎朝撮り続けてきた浅草の写真であり、雷門や仲見世、本堂や浅草神社の移り変わりであり、早朝の境内で出会った名も知らぬ人々との短い会話でもあります。
そして、毎朝一緒に歩いた犬たちとの思い出。
もう会うことのできない人たち。
季節ごとに咲いた花。
雨の日も、雪の日も、何事もなかった朝もあります。
そして今では、ハート君やビクトリー君をはじめ、境内で出会う小さな友だちまでが、あほまろの朝の物語に加わってくれました。
考えてみれば、あほまろは二十六年間、毎朝一艘の小さな舟を浅草という海へ漕ぎ出していたのかもしれません。
そのときには何でもないと思っていたものを、ひとつ、またひとつと舟に積み込んできたのです。そして二十六年経った今、振り返ってみれば、その舟はいつの間にか宝物でいっぱいになっていました。
だから、今度はそれを整理して、ちゃんと岸まで運ばなくてはいけない。それが『浅草は、朝が深い』という一冊なのかもしれませんね。
そう思うと、このおみくじの、「棹舟須濟岸 寶貨滿船歸」という二句が、妙に心に残るのです。
もちろん、おみくじはおみくじです。
未来を保証してくれる契約書でもなければ、出版予定を守ってくれる編集者でもありません。
ましてや、ビクトリー君が漢詩を読んで、この第九十六番を選んでくれたわけでもありません。
全部、偶然なのでしょう。
でも、人間というものは不思議なもので、何かを一生懸命やっているときに、その背中をそっと押してくれるような言葉に出会うと、偶然だと分かっていてもうれしくなるものなのですよ。
しかも今回は、鳩と一緒に引いたおみくじに、
「鶏逐鳳同飛」――鳥が鳥を追って、ともに飛ぶ。と出てきたのですからね。
これはもう、少しくらい勝手に縁起を担いでも、観音様は笑って許してくださるでしょう。
今朝も雨の中、ビクトリー君はあほまろの前に現れ、大きく翼を広げて見事な乱舞を披露してくれました。
その姿を眺めていると、
「昨日、大吉を引いたんだから、二十六年分くらいで弱音を吐いちゃ駄目だよ」
そんなことを言われているような気がしたのでした。
分かりましたよ、ビクトリー君。
舟にはもう、宝がいっぱい積まれているようです。
あとは、あほまろが棹を置かずに、岸まで漕いで行けば良いのでしょう。
でもね、ビクトリー君。
できれば次におみくじを引くときも、また大吉を選んでくださいよ。鳩だから漢字が読めない、なんて言い訳は無しですよ。
「鳩と引く 籤に鳳凰飛び出して 二十六年宝積む舟」(阿呆人也)
結局、観音様もビクトリー君も応援はしてくれますが、『浅草は、朝が深い』を完成させる最後のひと漕ぎだけは、あほまろ自身が頑張らなくてはいけないようですね。
今朝も秋雨前線の北上に伴い、早朝から激しい雨となりました。
予報によると、関東地方では局地的に激しい雨が降るおそれがあるとのこと。今朝の散歩は長袖に長靴という雨支度で出かけましたが、外気温は18℃と低いわりに湿度が高く、どことなく蒸し暑さを感じましたよ。今日の最高気温は20℃ほどで、一日を通して雨模様となるようです。
雨の朝は、いつもなら浅草寺の開門を待たず、早めに帰ってくるのですが、今朝はちょっと事情が違いました。
昨日お逢いした、香港からいらしているスリーサーさんと、今朝もお逢いする予定になっていたのです。
そんなわけで、激しい雨にも負けず、今朝は開門まで境内に残って待つことにしたのでしたよ。
今朝の日の出は午前5時20分。
平成中村座の小屋がけ工事が続いております。外観が完成したようです。
手水場の棚はラッカー塗り立てなので、まだ立ち入り禁止でした。
ハナカイドウの実。
日の出前、まだ薄暗く激しい雨が降り続く中、約束通りスリーサーさんが浅草寺にやって来ました。
おはようございます。今日も雨になってしまいましたが、撮影を楽しんでくださいね。
雨に濡れた境内は、灯りが石畳に映り込み、晴れた朝とはまったく違った表情を見せております。写真家のスリーサーさんにとっては、この雨もまた格好の被写体なのでしょうね。
あほまろがビクトリー君と遊んでいるところも、楽しそうに撮ってくれました。それならこちらからもお返しです。ビクトリー君と一緒のスリーサーさんを撮ってあげましたよ。香港からやって来た写真家と浅草寺のビクトリー君、雨の朝に思いがけないツーショットとなりました。
その後、守護さんからお線香をいただき、大香炉でお参りです。
お線香を立て、静かに手を合わせるスリーサーさん。その姿を眺めていると、祈りというものには言葉も国境も必要ないのだと感じますね。手を合わせて心を静める姿は、どうやら万国共通のようです。
そして、毎朝境内のゴミを拾いながら歩いてくださっている八千代さんともご挨拶。
「はじめまして。よろしくお願いします。」
雨の浅草寺で交わされた握手です。昨日までは互いに知らなかった人同士なのに、あほまろを間にして、今朝はこうして笑顔で手を握っている。毎朝同じ場所を歩いているだけなのに、浅草の朝には、ときどきこんな小さなご縁が生まれるのですよ。
そして、スリーサーさんが境内で声をかけた、ひときわ目を引くお二人。
最初は女性同士のお友だちなのかと思っておりましたが、お話を伺ってみると、ポーランドからいらした若いカップルでしたよ。
お二人とも、まるで日本のアニメから飛び出してきたような個性的な装い。雨の浅草寺という舞台にも不思議とよく似合っておりましたね。
せっかくのご縁なので、スリーサーさんと一緒に写真を撮らせていただきました。
香港からやって来た写真家と、ポーランドからやって来た若いカップル、そしてそれを撮っている浅草のあほまろ。雨宿りのような短い時間に、三つの国が浅草寺でつながってしまいましたよ。
こういう思いがけない出会いが次々と生まれるのも、早朝の浅草ならではなのでしょうね。
おはようございます。今朝は開門3分半前にやって来た、野崎さん。
おはよう益美さん。
お参りを終えたところで、いつもの早朝参拝のみなさんとスリーサーさんを囲んで、記念写真を撮りましたよ。
昨日出会ったばかりなのに、今朝はもうすっかり浅草の朝仲間。雨の中でも毎朝欠かさずお参りにいらっしゃるみなさんと、香港からやって来たスリーサーさんの笑顔が並びました。
旅先で出会った人とは、たいてい「一期一会」で終わってしまうものですが、毎朝同じ場所に通っていると、「また明日の朝ね」と言える出会いもあるのです。
そんなご縁が自然に生まれるのも、浅草の朝は、深いのですよね。
子育地蔵さま、わが家の子どもたちと猫の安全をお守りください。
日本のナイチンゲールと称される瓜生岩子像。
雨に濡れたイロハモミジ。そろそろ紅葉の時期がやってきますね。
定点観察を続けているソメイヨシノの木。あほまろは、風格ある幹や力強く伸びる枝ぶりはもちろんのこと、とりわけ葉の移ろいに心を惹かれております。
昨年から落ちることなく枝に残り続けている三枚の葉があります。新しく茂った深緑の葉にそっと覆われ、その存在に気づく人はほとんどおりませんが、あほまろは毎朝、その葉の姿を探してしまうのでございます。
令和の大改修を終え、広々とした境内西広場。以前とはまったく違う景色になりましたが、開放感あふれる新しい浅草寺の表情が広がっております。
お店の取り壊し作業が終わった伝法院通りでは、これから石垣や塀の補修工事が始まるのです。
あほまろは今日も秘密基地にて、「浅草は、朝が深い」の原稿書きに勤しみますよ。
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夕べの睡眠は69%でした。
おはようヒロちゃん。
今朝の朝の朝食は、お肉と野菜とバターパン。デザートはブドウとなし。
妻のコレクションは、千草ちゃんとマドンナちゃん。
昨日の東京スカイツリー。
しゅと犬くん。
あほまろお帰りなさい。
夕べの夜の夕食の晩ご飯は、冷やし中華。デザートはもも。
妻のコレクションは、チリちゃんとうめちゃん。
MemoiPhone 17 ProMAX