今朝は土砂降りの雨だったため、いつもより一時間遅れて散歩に出かけました。
玄関を出ると、半袖では思わず身震いしてしまうほどの肌寒さでした。しかし、上着を羽織れば、かえって雨でびしょ濡れになってしまいそうだったので、傘だけを手に、そのまま歩き始めたのでした。
雨は午後には次第に上がる予報ですが、日中の最高気温は23℃と、この時期としては少し低めの見込みです。今日は傘だけでなく、羽織るものも手放せない一日となりそうですね。
こんな日は、普段あまり紹介する機会のない場所をご案内しながら、少しだけ「あほまろの別の顔」についてもお話ししてみようと思います。
それが、本堂西側にひっそりと佇む「銭塚不動尊」でございます。
現在のお堂は、長年親しまれてきた旧堂の老朽化に伴い、令和元年(2019年)に六角堂として新築されたものです。新しいお堂ではありますが、そこに宿る信仰は昔と変わらず、多くの参拝者が商売繁盛や金運向上を願って手を合わせております。
堂の扉には、表裏それぞれに大きな「寛永通寳四文銭」が埋め込まれております。その姿は、まるで「お金そのものが福を招いてくれる」とでも言いたげで、つい財布の中身まで期待してしまいそうになりますね。
さらに堂の傍らには、「カンカン地蔵」と呼ばれる石仏が祀られております。石で軽く叩くと「カン、カン」と金属音のような音が響くことから、この名で親しまれるようになりました。財福を授けるお地蔵さまとして信仰され、多くの参拝者が願いを込めて石を打ち続けてきた結果、石像はすっかり削られ、もとの姿はほとんど分からなくなってしまいました。
もとは大日如来像であったとも伝えられておりますが、信仰とは時として石さえも削ってしまうものなのですね。ありがたいような、少々お気の毒なような…。ご本人も「もう少し優しく叩いてください」と思っておられるかもしれません。
しかも、この石像の下には江戸時代の貨幣「寛永通寳」が埋められているとも伝えられておりますから、古銭好きには何とも心がくすぐられる場所なのであります。
この銭塚地蔵の由来も実に興味深いものです。
享保年間、摂津国有馬郡(現在の兵庫県西宮市山口町)に住む一人の武士の妻は、貧しい暮らしの中でも武士の誇りを失わず、人からの施しを受けることなく清貧を貫いておりました。
ある日、子どもたちが庭から大量の寛永通寳を掘り当てます。
ところが母は、「理由のない金を自分のものにすることは恥である」と諭し、せっかく見つけたお金を元の場所へ埋め戻させたのでした。
現代なら「もったいない」と思う方も多いでしょう。しかし、この母の高潔な生き方に育てられた子どもたちは立派に成長し、一家は末永く繁栄したと伝えられております。
その後、子どもたちはその場所に地蔵尊を祀り、それが現在も兵庫県西宮市山口町に残る「銭塚地蔵尊」となりました。そして、その御分霊を勧請したものが、浅草寺の「銭塚地蔵堂」なのでございます。
この話を知るたびに、あほまろは「本当の財産とは、お金ではなく、それを扱う人の心なのだ」と教えられているような気がいたします。
もっとも、あほまろ自身は、若い頃からお金そのものより、お金に刻まれた歴史に夢中になってしまった人間なのであります。
かつては東洋鋳造貨幣の収集・研究に没頭し、とりわけ江戸時代の「寛永通寳」を生涯の研究テーマとしておりました。
全国の骨董市を巡り、発掘調査の資料を集め、時には泥だらけの古銭を前に何時間もルーペを覗き込み、数十万枚もの寛永通寳を集めたのでございます。
穴の開いた同じような古銭にしか見えない一枚一枚にも、鋳造地の違い、書体の癖、銅質の違い、鋳型の特徴など、それぞれに個性があります。それらを三百種類以上に分類し、長年の研究成果をまとめたものが、拙著『新寛永通寳図会』でございました。
ありがたいことに、この本は現在でも寛永通寳研究者や収集家の間では「バイブル」とまで呼んでいただき、今なお机の片隅に置いてくださっている方も少なくありません。
思えば、現在の「江戸ネット」の原点も、実は「東洋鋳造貨幣研究所」だったのであります。
ところが時の流れとは不思議なもので、共同研究者はそれぞれの道へ進み、あほまろも年齢とともに視力が衰え、何より細かな文字を追う根気が少しずつ失われてしまいました。
それでも秘密基地には、まだ分類を待つ古銭が数千枚眠っております。まるで、「まだ仕事は終わっていませんよ」と、古銭たちが静かに語りかけてくるようでもあります。
古泉分類の最後の仕事をしたのは、コロナ禍の緊急事態宣言中でしたよ。あの時は、どこへも出かけられなかったことが幸いし、長年の宿題であった皇朝十二銭、すなわち和同開珎から始まる律令国家の貨幣制度や経済政策について資料を読み直し、研究成果をまとめることができたのです。
若い頃には新しい資料を追い求めて全国を飛び回り、歳を重ねると、今度は静かな部屋で古文献と向き合うようになる――人生もまた、一枚の古銭のように、長い年月を刻みながら味わいを深めていくものなのでしょう。
最近では、古銭よりも鳩のビクトリー君たちと語り合う時間の方が長くなってしまいましたが、それもまた、あほまろらしい歳の重ね方なのかもしれません。
人は歳をとると、お金を数えるより、思い出を数える時間の方が長くなるものです。
しかし、どちらにも共通しているのは、「本当に価値のあるものは、決して錆びない」ということなのでしょうね。
「寛永の 穴よりのぞくわが人生 古銭残りて気力はどこへ」(阿呆人也)
浅草寺の開門まで、まだ三十分ほどありました。
その間も境内を歩いておりましたが、雨は弱まったかと思えば再び激しく降り出し、まるで空が「今日はもう帰りなさい」と語りかけているようでした。いつもの定点観察もままならず、今朝は開門を待たずに引き揚げることにいたしました。
せめて観音さまだけはお詣りして帰ろうと、本堂の前で静かに手を合わせておりますと、後ろから「おはようございます」と明るい声が聞こえてきました。
振り返ると、犬友のペコちゃんママでしたよ。
こんな土砂降りの日でも、愛犬との散歩は休めないのですね。
「犬は天気を理由にしてくれませんから。」
そんな飼い主さんたちの姿を見るたびに、あほまろは亡き愛犬ナナちゃんと歩いた朝を思い出してしまうのであります。
ナナちゃんは雨などまるで気にしない子でした。水たまりを平気で歩き、濡れた身体のまま「あほまろ、楽しいね」とでも言いたげに駆け寄って来るのです。
そして決まって、身体をブルブルッと大きく震わせる。そのたびに飛び散る雨粒で、あほまろのズボンはびしょ濡れ。
「おいおい、それはこっちへ向けてやることじゃないだろう。」
そう笑いながらズボンを拭いた朝も、今となっては懐かしい宝物の一つになってしまいました。
あの頃は、「また濡らされた」と苦笑いしていた出来事が、今では二度と戻らない思い出として心に残っております。
人生とは不思議なものですね。その時は面倒に思えたことほど、あとになって一番恋しくなるのですから。
今では犬を飼うこともできません。若い頃のように古銭をルーペで覗き込み、何時間も研究を続ける気力や視力も、少しずつ歳月に預けてしまいました。
残された日課は、毎朝こうして浅草を歩き、写真を撮り、日記を書くこと。
「ただ写真を撮って日記を書いているだけ。」
そう言ってしまえば、それだけのことかもしれません。
しかし、二十五年以上も一日も欠かさず歩き続けておりますと、昨日とは違う朝焼けがあり、昨日はいなかった鳩が飛び、一本の草木にも新しい季節が宿っていることに気づかされます。
何も変わらないように見える毎日ほど、実は小さな変化に満ちているのですね。
それを見つけて記録し続けることも、あほまろに与えられた大切な役目なのだと思うようになりました。
来年、あほまろは八十歳を迎えます。
もう、若い頃のような勢いはありません。
長い散歩を終えると疲れも残りますし、「今日は休もうかな」と思う朝も増えてまいりました。
それでも夜明け前に目が覚めると、なぜか身体は自然に浅草寺へ向かってしまうのです。
きっとこれは散歩ではなく、長年続けてきた「あほまろの人生そのもの」になってしまったのでしょう。歩けるうちは歩き、撮れるうちは撮り、書けるうちは書く。
それだけは、観音さまから与えられた宿題のような気がしております。
そして、いつの日か歩けなくなったとしても、この二十五年以上積み重ねてきた写真と日記が、「あの頃の浅草は、こんな朝だったのですね」と誰かに語りかけてくれるなら、それだけで十分幸せなのです。
明日から週末にかけては雨の心配はなさそうですが、湿度は高く、ジメジメ、ムシムシとした蒸し暑さが続く予報です。
気温以上に体力を奪われやすい季節ですので、皆さまもこまめな水分補給を心がけ、どうぞ無理をなさらずお過ごしください。
あほまろも、まだまだ浅草の朝に呼ばれておりますので、明日も元気に歩いてまいります。
「雨の日も 歩けば昔の犬が鳴く 写す朝こそわが寳かな」(阿呆人也)
伝法院通りのお店の取り壊し作業が行われております。
長く見慣れていた町並みが少しずつ姿を変えていくのを見ると、これもまた、浅草の移り変わりのひとつなのだと感じますね。いつもの散歩道でありながら、昨日まであった風景が、今朝はもう違って見えるのでした。
今日も、あほまろの秘密基地でのんびりと、気ままに過ごすことにいたしますよ。
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夕べの睡眠は84%でした。
おはようヒロちゃん。
今朝の朝の朝食は、野菜とゆで卵に自家製サンド。デザートはわらび餅。
妻のコレクションは、ペコちゃんとおフランスの知子ちゃん。
昨日の東京スカイツリー。
しゅと犬くん。
あほまろお帰りなさい。
夕べの夜の夕食の晩ご飯は、マーボー豆腐と冷スープに柿の葉寿司。デザートはプリン。
妻のコレクションは、つばきちゃんと千草ちゃん。
MemoiPhone 17 ProMAX