今朝は、レインボーちゃんが一羽でやって来ました。
羽をいっぱいに広げて、いつもの場所へふわりと着地です。
おはよう、レインボーちゃん。
でも、あれ……。
いつもなら一緒に姿を見せるビクトリー君がいませんよ。
レインボーちゃん、ビクトリー君はどうしたの?
もちろん返事をしてくれるわけではありませんが、レインボーちゃんも何となく落ち着かない様子。こちらを見つめる表情まで、「あれ、今日は来てないの?」と言っているように見えてしまいました。
あほまろも境内を歩きながら、いつもの場所を何度も探してみました。
ところが、どこにもビクトリー君の姿がありません。
毎朝のように顔を見せてくれていたビクトリー君ですから、姿の見えない朝というのは、なんとも妙なものですね。人間同士なら「今日は休みます」と電話の一本もできますが、鳩には携帯電話もありませんからね。
どこかで朝寝坊でもしているだけなら良いのですが、怪我でもして動けなくなっているのではないかと思うと、だんだん心配になってしまいましたよ。
そこへ、ハート君とピースちゃんもやって来ました。
おはよう、ハート君。
ねぇ、ハート君。今朝はビクトリー君が来ていないんだけど、どこかで見かけませんでしたか?
そんなことを尋ねても、ハート君は知らん顔。
それでも、じっとこちらを見つめる姿を見ていると、そんなこと、ぼくに聞かれても困るよ、とでも言っているようですね。
毎朝、来るのが当たり前だと思っていた一羽が来ない。それだけのことで、いつもの境内が少し違って見えてしまうのです。名前を付け、毎朝声をかけ、写真を撮り続けているうちに、いつの間にか鳩たちは単なる「境内の鳩」ではなく、朝の顔なじみになってしまったのでしょうね。
そこに、一羽の鳩が宝蔵門前を勢いよく飛んで行きました。
一瞬、「ビクトリー君か!」と思って目で追いましたが、残念ながら違ったようです。
ハート君も棚の上に飛んで来ました。
でも、ビクトリー君いったいどこへ行ったのでしょう。今日はたまたま別の場所で朝ごはんでも食べているだけなら良いのですが……。
棚の上でビクトリー君を待ってましたが、来る気配がありませんでしたよ。
ここからでは見える範囲が狭いので、もっと広い場所へ行けば、ビクトリー君を見つけられるかもしれませんね。
それじゃあ、みんなで下に降りて探してみようか。
レインボーちゃんも、ハート君も、ピースちゃんも、あほまろと一緒に場所を移して捜索開始です。
レインボーちゃんも、ハート君も、ピースちゃんも、あほまろと一緒に場所を移して捜索開始です。 あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロ。
ビクトリー君、どこにいるの?
いつもなら、こちらが探すまでもなく向こうから飛んで来るビクトリー君なのに、こんな日に限って影も形もありません。
ハトたちも、それぞれ違う方向を眺めながら探しているように見えましたよ。
あほまろも境内を見渡し、いつもビクトリー君が姿を現す場所をひとつひとつ確かめてみましたが、やっぱり見当たりません。
毎朝会っていると、そこにいることが当たり前になってしまいます。しかし、その「当たり前」が一日欠けただけで、こんなにも気になるものなのですね。
結局、みんなで手分けして探してみましたが、今朝はビクトリー君を見つけることができませんでした。
「来る鳩を 数えて気づく朝の空 一羽足りぬと深くなる朝」(阿呆人也)