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令和8年(2026)9月17日(木)

 おはよう、ビクトリー君。

 小雨の降る薄暗い境内に、今朝もいつもの時間になると、ビクトリー君がちゃんと姿を見せてくれましたよ。

 まだ日の出前です。境内は雨に濡れて静まり返り、いつもなら大勢集まってくる鳩たちも、こんな時間にはまだ寝床の中なのでしょう。ところがビクトリー君だけは、あほまろの散歩時間を時計でも持っているかのように知っているのです。

 しかも今朝は、ひとりではありませんでした。
「ほら、起きろよ。あほまろが来る時間だぞ」
 そんなことでも言ったのでしょうか。

 なんと、いつもはずいぶん遅くなってから姿を見せるレインボーちゃんまで連れて来たのですよ。

 おはよう、レインボーちゃん。

 でも、写真を見ると、なんだかまだ眠たそうな顔をしていますね。

 きっと雨音を聞きながら、もう少し寝ていたかったのでしょう。それを早起きのビクトリー君に叩き起こされて、

 「こんな雨の日まで行くの……」
 なんて、ぶつぶつ言いながら仕方なく付いて来たのかもしれませんね。

 それでも、二羽並んでこちらを見つめる姿は、まるで「あほまろ、お待たせ」とでも言っているようでしたよ。

 今朝は雨のおかげで、ほかの鳩たちはなかなか出て来ません。いつもなら餌を目当てに仲間たちが次々と集まってきて、ビクトリー君との時間もたちまち大騒ぎになってしまうのですが、今朝ばかりは邪魔者なしです。

 今朝は雨のおかげで、ほかの鳩たちはなかなか出て来ません。いつもなら餌を目当てに仲間たちが次々と集まってきて、ビクトリー君との時間もたちまち大騒ぎになってしまうのですが、今朝ばかりは邪魔者なしです。
 濡れた床の上を歩いたり、手すりに上がったり、あほまろの顔をじっと見つめたり。レインボーちゃんも次第に目が覚めてきたようで、二羽そろって「あそぼうよ」と近寄って来ました。
 それなら今朝は特別ですよ。
 誰にも邪魔されない、日の出前の浅草寺。雨音だけが響く静かな境内を、ビクトリー君とレインボーちゃん、そしてあほまろの三人ならぬ「一人と二羽」で、しばらく独占させてもらいました。

 さあ、そろそろ朝の始まりです。

 毎朝同じ場所を歩いていても、同じ朝は二度とありません。雨だからこそ出会える風景もあれば、雨だからこそ独占できる時間もあるのです。

 だからあほまろは、雨の日の散歩も嫌いではありませんよ。

。

 今朝も誰も居ない広い境内で思いっきり乱舞を舞ってくれましたよ。

 日の出時間を過ぎると、ハート君も出て来ましたよ。

 おはようハート君。

 今日もみんな仲良く遊んでくださいね。

 散歩の帰り道、あほまろを待っていたのは、お浅ちゃんでした。
「おはよう、お浅ちゃん。今朝も待っていてくれたのかい。」
 声をかけると、こちらをじっと見つめています。カラスという鳥は、遠くから眺めている時にはみんな同じ真っ黒な姿に見えるものですが、毎朝顔を合わせていると、表情まで違って見えてくるから不思議ですね。

 しばらくすると、観太郎君も飛んで来ました。これで夫婦が揃いましたよ。

 ところが、この二羽が面白いのです。
 あほまろが影向堂周辺の定点観察を始めると、ただ後ろから付いて来るのではありません。あほまろが次にどこへ行くのかを知っているかのように、先回りして待っているのですよ。

 あれ、もうそこにいるのかい。

 一枚撮って次の場所へ移動すると、今度は別のところで待っています。

 まるで二羽の方が、「次はここでしょう。」と教えてくれているようなのです。

 考えてみれば、あほまろは毎朝ほぼ同じ場所に立ち、同じ方向へカメラを向け、同じような順序で境内を歩いています。本人は「定点観察」などと立派な名前を付けていますが、カラスから見れば、毎朝決まった道を決まった時間に歩いて来る、たいへん分かりやすい人間なのでしょうね。

 もちろんだよ。あほまろの行動なんて、とっくにお見通しだよ。

 そんな顔をしておりましたよ。

 そして最後の場所に先回り。

 瓜生岩子さんのところです。

 今朝も、まるで瓜生さんを警護するかのように、ちょこんと留まりました。

 それにしても、カラスは賢いものです。

 人の顔を見分ける能力があることでも知られていますが、毎朝こうして接していると、それを実感させられることがあります。あほまろがどこを歩き、どこで立ち止まり、どこで写真を撮るのか。お浅ちゃんと観太郎君は、日々の繰り返しの中から覚えてしまったのでしょう。

 もしかすると、あほまろが二羽を観察しているつもりで、実際には観察されているのかもしれませんよ。

 ハトたちは近くまでやって来て、一緒に遊んでくれます。カラスたちは少し離れたところから、こちらの行動を読んで先回りしてくれます。
 同じ鳥でも、付き合い方はずいぶん違うものですね。

 でも、もしあほまろがいつもと違う場所へ向かったら、お浅ちゃんと観太郎君はいったいどんな顔をするのでしょうね。
 一度くらい、こちらからカラスを出し抜いてやりたいものです。
 もっとも――たぶん、出し抜かれるのは、またあほまろの方でしょうけどね。

「先回り カラスに読まれ 朝散歩 見ているつもりが 見られてました」(阿呆人也)

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