今朝も夜明け前、いつものようにビクトリー君が飛んで来ました。
おはよう、ビクトリー君。
毎朝ほとんど同じ時刻に顔を合わせているものですから、日記に書く文章も、ついつい似たようなものになってしまいますよね。
飛んで来ました、目の前に止まりました、こちらを見つめました――さて今日は何を書こうかと、あほまろも毎朝ちょっと困っているのですよ。
毎日同じことを繰り返していると、人間の頭というものは、それを「いつものこと」として片付けてしまうのでしょう。朝の散歩も、浅草寺のお参りも、そしてビクトリー君との出逢いも、いつの間にか日常の風景になり、小さな変化や発見を見過ごしているのかもしれませんね。
でも、よく考えてみれば、野生の鳩が毎朝のように同じ場所へやって来て、あほまろの前で待っていてくれること自体、決して「いつものこと」ではないのでしょうね。
今朝も元気だった。それだけでも良いですよね。
昨日と同じように見える朝が、今日も無事にやって来た。そして、いつもの場所にビクトリー君がいる。それだけで、あほまろは十分に満足なのです。
変わらぬ朝こそ、いちばんありがたい朝なのかもしれませんね。
おはようゴマちゃん。
ゴマちゃんは足が悪いせいか、いつも同じ場所でじ〜っとしていることが多いので、実は撮影する側にとっては、とても撮りやすいモデルさんなのですよ。
あほまろは時々、カメラを地面に下ろし、浅草寺本堂や宝蔵門などを背景に入れながら、ゴマちゃんとほぼ同じ目線から撮ってあげています。
人間の立った目線から鳩を見下ろして撮るのとは違い、地面近くから狙うと、小さなゴマちゃんが堂々とした主役になります。背景には浅草寺の伽藍が大きく広がり、いつもの境内なのに、ちょっと違った世界に見えるのですよ。
これって、普通に立ったまま撮っていては、なかなか得られない面白いアングルなのですよね。
ただ、いつもじっとしているゴマちゃんを撮りながら、あほまろには少々物足りないこともあります。
「ゴマちゃんも、たまにはビクトリー君みたいに、あほまろの周りを乱舞してくれないかな……」
そんなお願いをしてみたところ、なんと今朝は、その言葉が通じたのでしょうか。
突然羽を大きく広げると、あほまろの目の前を低空飛行。五重塔を背にこちらへ向かって来たり、地面すれすれを旋回したりと、いつものゴマちゃんからは想像できないほど元気に飛び回ってくれましたよ。
足が悪くても、空へ上がれば立派な翼があります。
いつも地面でじっとしているゴマちゃんが、今朝ばかりは「あほまろ、ちゃんと撮ってね」とでも言いたげに、翼をいっぱいに広げて見せてくれたのでした。
ゴマちゃん、ありがとう。
今朝は、真っ赤な足のシオちゃんも来てくれましたよ。
明日も乱舞してくれとは言いませんよ。無理をせず、元気な姿を見せてくれるだけで十分なのですから。
ビクトリー君もやって来て、僕の乱舞も撮ってよ。
それではさっそく踊ってくださいよ。
よ〜し、飛ぶよ!
その前に、喉を潤して、
準備体操。
それでは、ビクトリー君、乱舞の始まりです。
あほまろの周りを右へ左へ、時には目の前すれすれまで近づきながら、翼をいっぱいに広げて飛び回ってくれましたよ。
こちらへ向かって一直線に飛んで来たかと思えば、ふわりと急上昇。
大きく翼を広げた次の瞬間には、あほまろの手のひらへちょこんと着地です。
毎朝見慣れているはずの光景なのですが、こうして翼の一枚一枚まで写し止めてみると、ビクトリー君の飛翔はなかなか見事なものですね。
誰に教えられたわけでもないのに、上昇、旋回、急停止、着地まで自由自在。あほまろの周りだけが、ほんのひととき小さな飛行場になったようでしたよ。
さて、今日もビクトリー君の**「朝の乱舞」**をたっぷり楽しませてもらいました。
手水場の棚の上では、ハート君とピースちゃんも並んで、ビクトリー君の乱舞をじっと眺めておりましたよ。
やがてひとしきり飛び回ったビクトリー君も、満足したように棚の上へやって来ました。
「どうだ、今日の飛びっぷりは。」
そんな得意げな顔をしているようにも見えましたね。
ハート君とピースちゃんから盛大な拍手が聞こえてきた……ような気がしたのは、もちろん、あほまろだけでしょうけどね。鳩は拍手ができませんから、せいぜい「ポッポー」と喝采を送るくらいでしょうか。
それにしても、こうして三羽が並ぶと、それぞれ体つきも顔立ちもずいぶん違うものです。
余談ですが、あほまろが毎朝見ている限りでは、ピースちゃんは姿勢も良く、身体の線もすらりとしていて、なかなかの美鳩なのですよ。
首筋に光る緑や紫の羽も美しく、歩く姿にもどこか品があります。
あほまろの勝手な鳩美人コンテストでは、今のところ文句なしの**「浅草寺境内一の美人さん」**なのでございますよ。
もっとも、ご本人がそう思っているかどうかは分かりませんけどね。美人というものは、人間の世界でも鳩の世界でも、案外、自分では気付いていないくらいが一番美しいのかもしれませんよね。