夜中の午前二時。突然、枕元のスマートフォンがけたたましく鳴り響きました。
「緊急地震速報」です。
あの音というものは、何度聞いても心臓によろしくありませんね。眠っていた頭が状況を理解するより先に、身体のほうが「何か来るぞ」と身構えてしまいます。そして、間もなく建物がゆらり、ゆらり……。茨城県南部を震源とするマグニチュード5.9、最大震度5強の地震だったとのことです。ここ浅草では震度3ほどだったようで、幸い、棚の物が落ちたり家具が倒れたりするほどの揺れではありませんでした。
とはいえ、地震というものは、揺れている時間よりも、揺れが収まってからのほうが長く感じるものですよね。
「もう一度来るんじゃないか」
「これが前震だったらどうしよう」
そんなことを考え始めると、眠気などどこかへ逃げてしまいます。
結局、あほまろはそのまま午前四時の散歩出発まで、一睡もできませんでしたよ。
ただでさえ午前四時から歩こうという人間なのに、午前二時に起こされてしまっては、これはもう早起きではありません。ほとんど夜更かしの続きで朝を迎えたようなものでございます。
今朝の散歩で、今回の地震が残した意外な爪痕を目にすることになりましたよ。
ここは、「浅草西参道商店街」です。
入口には「西参道」と大きく掲げられ、芝居小屋を思わせる幟が並ぶ、いかにも浅草らしい商店街ですが、その足元を見て、あほまろは驚いてしまいました。
ひのきの木道が、見るも無残な姿になっていたのです。浅草西参道商店街といえば、商店街としては珍しい、ひのき材を敷き詰めた木道で知られております。
普通の商店街ならアスファルトやタイルですが、ここは木の温もりを足元から感じさせてくれる造りになっております。雨の日には濡れた木の色が深くなり、晴れた日には柔らかな木肌が浅草らしい風情を見せてくれる、なかなか味わいのある道なのです。
ところが今朝は、その木道の一部が大きく浮き上がり、外れた木片があちらこちらに散乱しておりました。
写真で見ると、その様子はまるで巨大な木製パズルのようですね。
長い材、短い材、曲がった材。
「これは、いったいどこに入っていたんだ?」
そんな声が聞こえてきそうなほど、複雑に組み合わされていた木材が外れ、重なり、横倒しになっております。
もちろん、実際にどこまで地震の揺れそのものが原因となったのか、木材の経年変化や下地の状態なども含め、専門的な確認を待たなければ断定はできません。しかし、少なくとも地震の後の朝、あほまろの目の前には、いつもの西参道とはまるで違う光景が広がっていたのでした。
毎日見慣れている場所だからこそ、その変化には胸を突かれますね。
建物が倒れたわけではありません。大きな看板が落ちたわけでもありません。けれども、いつも何気なく踏んでいた「道」が壊れている。
これは案外、心に響くものです。
道というものは、普段は誰も気に留めません。
人は前を見て歩き、店を見て歩き、スマートフォンを見ながら歩きます。足元の一枚一枚の板など、いちいち眺める人はほとんどいないでしょう。
しかし、その道が壊れた瞬間、初めて気付かされるのです。
道もまた、街の一部として人々を支えていたのだ、と。
西参道のひのき木道も、これまでどれほど多くの人をその上に乗せてきたのでしょう。
浅草寺へ向かう地元の人、買い物客、修学旅行生、外国からの観光客、酔っぱらって千鳥足で歩いた人もいれば、恋人同士で手をつないで歩いた人もいたでしょう。
みんな何気なくその上を通り過ぎていきました。木道は文句ひとつ言わず、黙って人々の足を受け止め続けてきたのです。それが一夜の地震で、こんな姿になってしまいました。
散らばった木材を眺めながら、あほまろは、ふと人間の暮らしも似たようなものかもしれないと思いましたよ。
さて、今回の地震は揺れるだけでは終わってくれませんでしたよ。わが家のマンションのエレベーターが安全装置の作動で停止してしまったのです。
あほまろの自宅は十階。
いつもならボタンを押せば、文明の利器が静かに一階まで運んでくれるのですが、今朝ばかりはウンともスンとも言いません。
仕方なく、十階から階段をてくてく。
毎日六キロほど歩いているとはいえ、平地を歩くのと十階分の階段を上り下りするのとでは話が違います。地震で揺さぶられた後は、今度は人間のほうが上下に揺さぶられる番となりました。
それでも、いつものように浅草寺境内を巡って朝の散歩を終え、階段を昇って家に戻り、シャワーと食事を済ませ、さて秘密基地へ向かおうとまたまた階段を降りて向かったのですが、ここもまた地震の置き土産が待っておりました。
秘密基地のエレベーターも停止中。
「また階段か……」
今度は六階まで上りました。
一段、二段、三段……。
寝不足の身体には、階段の一段一段が妙に高く感じられます。それでもようやく六階へ到着し、「やれやれ」と扉に手をかけたところ――。
開かない。
なんと、階段側のドアに鍵がかかっていたのでございます。
これには参りましたね。
六階まで一生懸命上ってきた人間に対して、最後の最後で「残念でした」と扉が答えているようなものです。
地震には勝てても、鍵には勝てません。
仕方なく、また六階から下りるしかありませんよね。
そんなわけで今朝のあほまろは、自宅十階を二往復させられたうえ、秘密基地でも六階まで上って無駄足。いつもの散歩に加えて、予定外の階段運動までたっぷりさせられてしまいました。
エレベーターは止まり、扉には阻まれ、道まで浮き上がる。
人間がどれほど便利な世の中を造っても、その土台となる大地が「ちょっと失礼」と身震いすれば、文明のほうが慌てふためいてしまうのでございます。
地球から見れば、人間の都合など知ったことではないのでしょうね。それでも人間は面白いものです。
浅草という街は、これまでも地震、火災、関東大震災、戦災、そして数え切れないほどの災難を経験してきました。
そのたびに壊れ、そのたびに立ち上がり、また人が集まる街へと戻ってきました。
西参道の木道の一本一本にも傷があります。人が踏んだ跡、雨に濡れた跡、年月に磨かれた色があります。
修復される時は、何もかも新品に取り替えるのではなく、使える木はできるだけ元へ戻してほしいものですね。
なぜなら、その傷こそが浅草を歩いてきた人々の記憶だからです。この地震の朝に外れてしまったという出来事さえ、いつかは西参道の歴史の一頁になることでしょう。
今朝は午前二時に叩き起こされ、十階を二往復し、六階まで上って締め出され、そのうえ散歩までしてしまいました。
考えてみれば、地震そのものよりも、その後の階段のほうが、あほまろの身体にはよほど効いたような気もいたします。
それでも、こうして冗談を書ける朝を迎えられたことに感謝しなくてはいけませんね。
大きな被害を受けた地域の方々にとっては、笑い話では済まされません。地震列島に暮らす以上、今日の「無事」が明日の「当然」とは限らない。そのことを、今朝の浅草西参道の木道が、散らばった姿で教えてくれているようでした。
最後に、今朝の騒動を狂歌にしておきましょう。
「地が揺れて 十階六階駆け巡り 木道までも朝のパズルに」
そして、散らばった西参道のひのきに寄せて――。
「散る木々も 拾えば道にまた戻る 浅草という街の強さよ」(阿呆人也)
壊れたものは直せます。散らばったものは拾えます。そして道は、また道になります。そんな当たり前のことが、今朝は妙にありがたく思えた、地震の朝なのでございました。
今朝は地震の影響で秘密基地に入ることができなかったため、やむなく自宅のノートパソコンで日記の作業をしております。
いつもとは勝手が違うため、時間がかかりネットへのアップがすっかり遅くなってしまいました。
そんなわけで、今朝は地震に起こされ、階段を上ったり下りたり、最後には秘密基地にも入れずと、朝から予定外のことばかり。どうか今朝のあほまろのドタバタに免じて、更新の遅れをご理解くださいね。
今朝の日の出は、午前5時05分
早朝から忙しそうにサルスベリの花を飛び回る、ミツバチ。
ハナカイドウの実。
おはようございます。今朝は開門3分前にやって来た、山本さん、金山さん、野崎さん、高橋さん。
梶原さんも入れて、おはようございます。
おはよう益美さん。
子育地蔵さま、わが家の子どもたちと猫の安全をお守りください。
日本のナイチンゲールと称される瓜生岩子像。
セミが鳴く晩夏の境内をご覧下さい。
深い緑に包まれたイロハモミジ。
定点観察を続けているソメイヨシノの木。あほまろは、風格ある幹や力強く伸びる枝ぶりはもちろんのこと、とりわけ葉の移ろいに心を惹かれております。
昨年から落ちることなく枝に残り続けている三枚の葉があります。新しく茂った深緑の葉にそっと覆われ、その存在に気づく人はほとんどおりませんが、あほまろは毎朝、その葉の姿を探してしまうのでございます。
令和の大改修を終え、広々とした境内西広場。以前とはまったく違う景色になりましたが、開放感あふれる新しい浅草寺の表情が広がっておりました。
お店の取り壊し作業が終わった伝法院通りでは、これから石垣や塀の補修工事が始まるのです。
あほまろは今日は秘密基地に入れないので、家でヒロちゃんとゴロゴロ寝てますよ。
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おはようヒロちゃん。
今朝の朝の朝食は、ところてんとクロワッサン。デザートはウメちゃんから頂いた、モモちゃん。
妻のコレクションは、宇宙人のイイベとシルバー。
昨日の東京スカイツリー。
あほまろお帰りなさい。
夕べの夜の夕食の晩ご飯は、久しぶりに近所の寿司屋さんから出前一丁。
妻のコレクションは、千草ちゃんとモミジちゃん。
MemoiPhone 17 ProMAX