芸術祭の審査員たすけの奮闘記、新連載です。
◆◆ その2<まだ大阪編> ◆◆ 10月5日(土) というわけで、時は今、2002年の秋である。誰が何と言っても10月初旬なのである。 ほんとに誰かが何か言ってくるといけないから、さっさと新幹線に乗ってしまおう。 東京駅9時53分発の「のぞみ9号」に乗ると、12時26分に新大阪に着くんだな、これ が。とっとと地下鉄御堂筋線に乗り換えて、13時には難波駅についた。今日の芸術祭参加口 演は昼夜2本立て。十三に回って「やまもとのねぎ焼き」の行列に並ぶとか、新阪急食堂街の 定食屋で「かやくごはん」を食うとか、道頓堀で「神座ラーメン」の西洋風スープを味わうと かいった寄り道(しかし食い物ばかりだな)をしてるヒマなど、まーったくないのであった。 「なんばウォーク」の地下街でおでん定食をかっこみ、千日前のホテルでチックインして、あ わただしく「ワッハ上方」へ。本日の出し物は、えーと、えーと、えーと、あ、そうだそうだ、 「桂む雀独演会」であった。14時開演に、ゆうゆう(でもないか)セーフである。 <桂む雀独演会>(ワッハ上方演芸ホール) 桂 都んぼ : 転失気 笑福亭銀瓶 : 寄合酒 桂 む雀 : 高津の富 仲 入 笑福亭三喬 : 寄席の獅子舞 桂 む雀 : 雨乞い源兵衛 前座の都んぼは、やたらと元気がいい。だから「転失気」の小坊主・珍念がいきいきとして いる。そこまではいいのだが、お寺の和尚さんまでが若い。若すぎる。これでは、そのへんの ニーチャンではないか。カミシモもあやしいぞ。もちろんこれからの人だから、「明るさ」と いう長所さえのばしてくれればいいのだが。 銀瓶、細いな〜。 「噺家は寂しがりやが多いので、仕事以外でもよく集まるんですわ。ボーリングやったり、 茶道部というのもやりました。あと、草野球。トリプルヘッダーによく駆り出されました。 ワ タシ、一時、野球でメシ食うてたんです。鶴瓶一門の野球チーム。ワタシはジャイアンツファ ンなんですが、あとは皆阪神ファンなんで、本物そっくりの縦縞ユニフォームなんですわ。自 宅から、それ着てグランドまで行くと、よく間違われました」 見た目は悪くないし、きちんとはしているんだけど、もう一つ笑いがはじけない。若さに似 合わない、もっともらしい口調のせいだろうか。 さてさて、ようやく本日の主役が登場だ。 「ひらがな混じりのカワイイ名前、桂む雀でございます〜。自分の独演会ですんで、みなさ んよう知ってるとは思いますが、これ言わんと、後が続かないんです」 軽快な滑り出しの一席目は、「高津の富」。からりとしたガラを生かして、明るく、テンポ よく噺を進めていく。時折オーバーアクションになったり、奇声が混じったりするのは、枝雀 一門の特徴なのだろうか。 前半の淀屋橋の宿屋の場面、一文無しが金持ち"自慢をするくだりが、ちょっと一本調子にな っている。ふぁあああ、なんだか退屈だなあ、そういえば早起きしたから眠いなあなどと考え つつ、まったりして聴いていたら、突然む雀の噺の調子が良くなった。当たりくじの発表直前、 夢枕に立った神様に「二等になる」とつげられたお調子者が延々とのろけるところの緩急が絶 妙なのである。まったりした噺が、このあたりから、どんどん面白くなっていくのだ。 しかしこの場面、東京落語の「宿屋の富」だと、「湯から帰ってくると、お膳の上に天ぷら があって鰻があって」という繰り返しが面白いのだが、上方版では「お風呂行って帰ってきた ら、酒肴の用意があって」を繰り返すだけで"各論"には入らないのね。 宿屋の一文無しが千両富を当てる場面も楽しい。 「当たった当たった当たった。(合わせた手が離れず)この手がはなれない!この手はなすの に五百両かかったらどないしよー」 和やかなうちに前半が終了。仲入をはさんで、ゲストの三喬の登場だ。実はこの人、見るの も聴くのもまったくの初めて。初体験は大事でしょーというわけで密かに期待していたのであ ったが、獅子舞じゃあ、顔も芸もわかんないよー。 東京の寄席でおなじみの、太神楽連中による寿獅子と比べると、動きが豊富で、そのぶんコ ミカルな味わいが強い。客席から投げられたミカンを口でキャッチ、という芸を見事に決め、 ご祝儀をいただいて最敬礼する獅子の姿がなんともカワイイ。 ラストは獅子の口から巻物を垂らして、「満員御礼」とかなんとかやるのだろうと思ってい たら、あらら、なんだか巻物の文面が長いじゃないの。 「獅子舞のご用命は、直接お電話ください」 しっかり営業してるのね。日本語ちょっとおかしいけど。 む雀の二席目、トリネタは小佐田定雄作の「雨乞い源兵衛」。「天気予報ともうしますが、 昔は気象協会の密室に下駄があって・・」なんてトボけたマクラから、のんびりとした日本昔 ばなしの世界(?)に入っていく。ふわりと軽く明るく、師匠枝雀とは違う芸を力まず聴かせ てくれた。飛び抜けた個性はないが、堅実な中堅という印象である。 ◆ ◆ ◆ 本日一回目の公演を、居眠りすることもなく無事クリアして、ちょっとお茶して休んだ後は、 小春団治の会が待っていた。会場は・・・、ドーンセンター?テレビ大阪の近く?こだそれは。 地下鉄路線図と首っ引きで何とか天満橋までたどり着き、大阪の繁華街にはどこでもありそう な地下街をうろうろしていたが、いっこうに見つからないので地上に出て上を向き向きしばら く歩くと、前方に「テレビ大阪」の看板が見えたー!ドーンセンターは、「テレビ大阪」より 立派そうなビルの上の方にあったが、目の前に来るまでその存在に気が付かなかったぞ。 <桂小春団治独演会>(ドーンセンター七階ホール) 桂 春菜:七度狐 桂 小春団治:さわやか侍 内田勘太郎・桂小春団治:対談&ギター演奏 仲入 桂 小春団治:天国への階段 第一話「ゼン・イン・ブラック」 作・東野ひろあき 第二話「黒星・白星」 作・くまざわあかね 第三話「Money」 作・桂小春団治 前座の春菜は、亡くなった桂春蝶の子息だよね。見た目よし。でも、口調は重く、やや一本 調子なので、盛り上がりに欠ける。もしかして、上手がっているのかな? 「つい二日前に海外公演から帰ったばかりです。独演会の前に何をするねん、というか」と 甲高い声で、小春団治が口火を切った。海外ではなかなか小春団治の名を覚えてもらうず、ブ ルガリアでは小団治、ベルギー、ノルウェーでは春団治(!)といわれ続けたとかなんとかの マクラはさほど面白みがない。何かのコメンテーターのような、クールでもっともらしい口調。 噺家としては珍しいタイプである。 演じるネタは、小佐田定雄さんの書き下ろしとか。泥田家三千万石の若君が、長屋暮らしを 始め、ついには桃太郎侍の真似事をするようになるという、なんちゃって時代劇だが、ギャグ は凡庸、すぐに先が読めるような展開、サゲも今ひとつで、小佐田作品にしては「ピカッと光 るもの」がない。期待してたんだけどなー。 前半のハイライトは、ゲストの内田勘太郎だった。元憂歌団のギタリストで、独特のボトル ネック奏法で知られている。とつとつとしたしゃべりに、不思議なオカシサがある。 「ボトルネック奏法はね、はじめオヤジが飲んでたキャベジンのビンでやって、それから宝 焼酎のボトルになって、フルーツカルピスのボトルで落ち着いたんです」 「カルピスって、茶色いビンですよね」 「普通のカルピスは茶色だけど、フルーツのは透明なんです。でも、ボトルのデザインが変 わってしまって。ボクが「これこれこういう事情で、今までのビンでないと困る」とカルピス の本社に手紙を出したら、二年分のボトルを送ってきましたよ。もちろん中身入りの」 「でも、それだけで大丈夫なんですか」 「秩父にカルピスのビンが大量に不法投棄されているんですよ。それを土建業の友人が送っ てくれる。で、北千住の焼き鳥屋の友人の父親が、ボトルを切ってくれるんです」 なんだかすごい話の後は、ボトルネック付きの実演である。「引き潮」「ムーンリバー」 「スター・ダスト」と、スタンダードの名曲をみっちり。いやー、堪能しました。「これで終 わったら、内田勘太郎ショーに小春団治がゲスト出演したみたいだよね」などという会話が、 休憩時間に審査員同士で交わされたのであった。 ところがどっこい、小春団治はただものではなかった。後半が始まるや、「内田勘太郎ショ ー風独演会」のイメージを一掃する意欲作を出してきた。新作オムニバス落語「天国への階 段」である。 「噺家の寿命は平均年齢に届いているのでしょうか?こう考えると気になりましてね、上方 落語の過去三十五年を洗い出してみたところ、その間、十八人死んでいるんですな。ざっと二 年に一人。先代染丸が亡くなったのが三十五年前。長命の方は、昭和四十七年に死んだ橘ノ円 都が89九歳。でもこれは例外中の例外ですな。噺家は早死にが多くて、平均寿命は55.7 歳。かなり低い。いかに噺家の食生活がええかげんかということです。そう考えると、米朝師 匠はどんだけ生きとんねん、ということになる。ワタシは今、44歳。考えたら、あと十年ぐ らいの寿命です。この独演会も十回できるかどうか。(客席に向かって姿勢を正し)みなさん、 一回の漏れもないよーに!」 マクラはさっきより格段に面白い。小春団治のクールさが、こういうウンチク系の話では生 きるのだろう。なるほどなあと客を感心させたあと、「あーあ、死んでもうた。ちょっと寝た だけなんやが」と、すんなりネタに入った。 三人の作者が「死」という共通テーマでそれぞれ噺を作り、それを小春団治が三本続けてし ゃべって、共通のサゲをつける。過去にこういう趣向があるのかどうか浅学にして知らないが、 芸術祭でこういう実験作に出会えるのは本当にうれしい。、 亡者が天国の階段を上っていく。その先には、天国の門があり、そこで入国審査がを受けな ければならない。担当の天使が言うには、「これから与えられる課題をクリアしなければ、こ こから先へ行くことは出来ない」。 三人の作者が考えた課題は、実にばらばら。 放送作家東野氏の第1話は「地球を破滅から守れ」 落語作家くまざわあかね氏の第2話は「前頭三枚目の相撲取りになれ」 最終話は小春団治自らの作で「現金三百万円を稼げ」 どれも楽しいエピソードなのだが、最も課題が簡単そうな最終話が、群を抜く面白さである。 ネタばらしはしたくないが、冒頭から「うわあ、やられたー」という仕掛けがあって、観客は その驚きをひきずったまま、怒濤の快進撃に巻き込まれていくのだ。 一席目のもたつき、内田勘太郎の張り切り過ぎ、会の構成のバランスの悪さ・・。留保点の 多い落語会だが、トリの一席の最終エピソードの素晴らしさが、すべての暗雲を吹き飛ばした。 興奮気味で会場を出ると、あたりは真っ暗。終演時間を大幅にオーバーしているためか、地 下街の店もほとんどのれんを下げている。腹は減ったし、地理には暗いし、ううう、とにかく 難波まで戻ってうどん食って寝るか。あすも二本立てだしな。 ◆ ◆ ◆ 10月6日(日) 一夜明けて、サワヤカな朝、だったのかどうか、朝飯はなんだったのか、昼前は何をしてい たか、さっぱり覚えていないのはどういうわけか。ついこの間のことだったのになー。でも昼 飯は覚えているぞ。心斎橋近くの小ぎれいな洋食屋「明治軒」の、オムライス&串カツのセッ ト。具がほとんど見あたらないオムライス(とけている、ということらしい)と、べちゃっと ソースがかかった薄べったい一口カツ。こう書くとチープな食い物のようだが、うまいんだ、 これが。 コホン、余計なことは考えずに芸術祭だ芸術祭。昨日は落語の二本立て、今日は漫才の二本 立て。どうしてこう偏った内容になるのかなあ。頭を漫才モード(そんなものがあるのか)に 切り替えて、さあて、ホテルから五十メートルの至近距離にあるワッハ上方演芸ホールに向か うのだった。しかし大阪の会場はワッハ上方ばかりだな。もっと他の落語会場を見てみたいの だが。あらら、雨も降ってきた。 <海原さおり・しおり 漫才Live Vol.2>(ワッハ上方演芸ホール) さおり・しおり:漫才「ああ 恥ずかしい」 ふうらいぼう :漫才 ゼンジー北京&さおり・しおり:中国手品 海老一 鈴娘 :太神楽 さおり・しおり:漫才「2002年オバちゃん列車の旅」 さおり・しおりは、コンビ結成二十周年になるのだという。さすがに二人ともオバサンには なったが、長身で一見おすまし美人のさおり、小さくて可愛いらしいしおりというキャラクタ ーは今も変わっていない。 若いOLの会話から、どこにでもいる主婦の井戸端会議とネタが変わった。子供の授業参観、 ご近所のうわさ、知人の結婚式の失敗談ーー。フツーの主婦の、フツーの日常生活をネタにし て、陽気でさわやかで、下世話な感じがない。 「こないだの結婚式、引き出物のお皿に書いてある新郎の名前が間違ってるねん」 「そやったからしら?」 「うん、新郎はヒロシなのに、さらに裏見たら『ノリタケ』って」 「はあ・・・」 「別の結婚式では、時計もろうたんやけど、新婦はアキコさんなのに、裏見たら『セイコ』 やて」 「そんなん、みなわかっとるわ! あんた、あほ?」 「あほいうなー!」 ほのぼの、ほのぼの。 ゲストのふうらいぼうは、同じ事務所の若手コンビらしいが、さおり・しおりに軽快なテン ポに比べると、だいぶどんくさい。 久しぶりにみるゼンジー北京も全然変わらない。昔から怪しげなオッサンだったが、今も怪 しいオッサンである。芸も、もっともらしくやっているが、大ネタではない。引っ張って引っ 張って、何が出てくるかと思わせて、何もなかったり。 「ワシの手品、こんなんばっかりよ」 とうそぶき、堂々としている。 この日の収穫は、太神楽の鈴娘。海老一鈴子というベテラン太神楽の娘で、普段は母娘でや っているらしいが、この日は娘一人の高座。きりっとした美形のお嬢様が、出刃皿などという 荒っぽい芸を見せるギャップが新鮮である。「洋風五階茶碗」とでもいうのか、火をつけたろ うそくが入った色グラスを積み上げて、扇で仰いで紙吹雪を散らす芸も、ぴたり決まって、あ でやかあでやか。ただ、芸の最中、本人はにこりともしない。まだ本人は、笑う余裕がないの かもしれないが、中心線のぶれもなく、安定した芸である。太神楽東西美女対決「東の小雪、 西の鈴娘」なんて、だれか企画してくれないかなあ。 上方の色物芸を堪能したあとは、さおり・しおりが再び登場。といっても、相変わらずの、 おきらく主婦漫才だ。「スーパー○○は、お〜いお茶が六十八円や」とか「おばちゃんは必ず アメを持ってる」とか「イモのことは、おイモさん。おばちゃんは、かならず頭に『お』と 『さん』をつけるんや」「じゃ、おっさんは?」なんて、たわいないやりとりに、満員の客席 の大半を占めるナニワのオバチャンたちが、嵐のような賛同の拍手を送っている。 「わたしたち、今までも一生懸命やってきたつもりですけど、コンビ結成二十五周年を機会 に、もう一度自分たちの芸を見つめ直していきたいと思います。応援よろしくお願いします」 漫才の最後に、素に戻って決意を述べる二人。明らかにご近所のお友達と思えるオバサンた ちの花束攻勢に、涙ぐむさおり。芸とは関係ない部分なのかもしれないが、いかにもこの二人 らしい、気取りのない、さわやかな会だった。 ◆ ◆ ◆ 外に出ると、まだ雨が降っているじゃないか。しょうがないから、千日前のアーケードのあ る商店街だけをうろうろして、近所のコーヒーショップ(シアトルだったか)で一休み。おっ と、もう次の会の時間ではないか。本日二試合目の漫才との対決。こんどのはヘビーだぞ。な んせ、こてこてドツキ漫才の正司敏江・玲児だもんなー。 <正司敏江・玲児 泣き笑いAth.漫才・万才>(ワッハ上方演芸ホール) 敏江・玲児:漫才「大阪ものがたり」 敏江・玲児:爆笑歌謡ステージ 敏江・玲児:漫才「男の言い分 女の言い分」 田淵岩夫:司会進行とものまね 漫才二本の間に、地方営業でウケまくっているという「玲児の演歌&敏江の無茶苦茶な踊 り」を挟んだだけの、シンプルかつ力強い漫才ショータイムであった。 恥も外聞もない、エネルギッシュなドツキ漫才で売ったコンビも、もう還暦を過ぎた。さす がに往年の激しいドツキは影を潜めてしまったが、歌い踊り別れた亭主をこき下ろす敏江のパ ワーは健在だ。「如何に玲児が女たらしで嘘つきでどうしようもないヤツか、客席へ降りてき て、イスの上に立ち上がって、大演説をする敏江」の勇ましくもスサマジイ姿には、言葉もな い。客席の全女性を味方に付け、玲児を追いつめる敏江。「結局ワシが全部悪いんか〜!」と 絶叫する玲児。この生々しくどろどろとした笑いの世界は、東京のどこを探しても見あたらな い。 「コンビを組んで三十五年、角座、浪花座、中座・・・。ワシらが出たところは、全部つぶ れてしもた。多き声では言えまへんが、ここ(ワッハ)も長いことおまへんで。家賃も高いと 聞いとるし」 「いつも元気な敏江ちゃん、ろくでなしの玲児さん。羽ばたけ未来の敏江ちゃん、逃げた玲 児に未練なし!」 「これ(玲児)がほかした子供も、二十九になりましてな。こないだ私に十万円小遣いくれ ました。親はなくとも子は育つ。私はこの男には一銭ももらってまへんで!」 「こいつのとこにも子供がいましてな、上は高校生、下はまだ小学六年。まだ先が大変や。 そいで、ほかした子は十万円・・」 「こいつと別れた時な、『あいつ(玲児の嫁)は若いから、お前が子育てしてくれ。そのか わり養育費は』って、一銭も払ったことあんのか?」 「長いこと漫才やってますけど、この十五年ですよ、やっとみなさんの顔を見て芸ができる ようになりました」 「そうそう、人間は悪いことすると、人の目を見られんもんなー」 二本の漫才、一応物語のようなものはあるのだが、気がつくと、こういう展開になっている。 「三十五年やって、台本を二つ覚えたのは初めてや」と敏江が言っていたが、その台本はほと んど頭に入ってないようだ。ま、こういう芸なのだからしょうがないか。 毒気に当てられ、呆気にとられているうちに、終演の時間。ここではっと我に返った。しか しこの会、芸術祭参加公演としては、どういう風に評価すればいいのだろうか。ううむ、うう むと考えながら、ミナミの町中へ繰り出すと、降り続く雨がまた激しさをましたようだ。ま、 今日の所は難しいことを考えるのはやめにして、お好み焼きでも食いにいこうっと。かくて雨 に追われながら、吉本の脇の「千房」にすいこまれていくワタクシ。芸術祭大阪編は、まだ半 ばを過ぎたばかりなのであった。 まだまだつづく |
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