日の出前、まだ薄暗い境内なのに、今朝はいつもより早くビクトリー君が飛んで来ましたよ。
あほまろ、もう来てたんだね。
そして、ビクトリー君の後ろからはレインボーちゃんもちゃんと着いて来ました。
おはよう、ビクトリー君。おはよう、レインボーちゃん。今朝も夫婦そろって早起きですね。
いつもより早いご出勤でしたが、二羽ともお目々はぱっちり。眠そうな様子はまったくありません。
昨夜はきっと、ぐっすり眠れたのでしょうね。
こうして近くで見ると、いつも見慣れた鳩にも、自然が仕立てた立派な衣装があるのです。
それにしてもビクトリー君、今朝はずいぶん凛々しいお顔です。首もとの羽には緑や紫の光沢が浮かび、暗い境内でもなかなかのお洒落さんですよ。
レインボーちゃんも負けてはいません。名前の通り、首もとの羽が緑から紫へと輝いて、とてもきれいでしたよ。
ボクも綺麗でしょ。
もちろんですよ。
さて、挨拶が済んだと思ったら、ビクトリー君は再び翼をいっぱいに広げて、あほまろのところへ一直線。
着いて早々ですが、今朝も一緒に遊びましょうようね。
まだ日の出前で境内は薄暗く、写真はなかなか綺麗に撮れませんでしたが、この暗さもまた早朝ならではの風情ですね。
静まり返った境内にビクトリー君とレインボーちゃんの羽音だけが響く――そんな、夜から朝へと移り変わる浅草の雰囲気が感じられる写真になりましたよ。
そして、いつものようにあほまろの手のひらへ。まだ夜の名残を残す浅草寺を背景に、ビクトリー君との一日は、今朝もここから始まったのでした。
「まだ暗き 観音さまの朝参り 鳩で始まる秋の一日」(阿呆人也)
早朝から元気いっぱい飛び回っていたので、ちょっと喉が渇いたのでしょう。
水場へやって来て、冷たいお水をゴクゴク。朝から飛び回ってお疲れさま。ゆっくりお水を飲んで、ひと休みしてくださいね。
ひと息ついて明るくなると、ハート君もやって来ましたよ。
おはよう、ハート君。今朝も元気そうですね。
でも、ハート君はいつも落ち着きがありません。せっかく写真を撮ってあげようとしても、あっちへトコトコ、こっちへトコトコ。「ちょっとくらいじっとしてくれませんかね」とお願いしても、本人にはどこ吹く風でしたよ。
そして棚の下を覗いてみると、ちゃんとピースちゃんの姿もありました。
いつの間にやら、今朝もお馴染みさんが勢揃いです。
こうして毎朝、誰が先に来た、誰が水を飲んだ、誰が落ち着かないなどと眺めていると、鳩たちにもそれぞれ性格があって面白いものですね。
ビクトリー君、レインボーちゃん、ハート君、そしてピースちゃん。今日も喧嘩などせず、みんな仲良く過ごしましょうね。
……とは言っても、鳩の世界にもいろいろ事情があるようですから、あほまろの願い通りにはいかないのでしょうけどね。
帰り道、いつもの瓜生さんのところまで来ると、今朝も貫太郎君とお浅ちゃんが待っていましたよ。
二羽そろって像の両脇に陣取り、辺りをきょろきょろ。
今朝も瓜生さんの警護、ご苦労さまです。境内に異常はありませんでしたか?
貫太郎君は胸を張って辺りを見回し、どうやら今朝も異常なしのようですね。
それにしても、こうして近くで見ると立派な顔をしておりますね。
黒一色に見える羽も、光の加減によって青や紫に輝き、なかなかのお洒落さんなのですよ。
瓜生さんのすぐそばまで寄って、
ちょこんとお膝の上へ。これでは警護というより、瓜生さんに何やら朝の報告をしているようにも見えますね。
本日も異常ありません。これより、あほまろの見送りに向かいます。
毎朝ここを通ると、いつもの場所にいつもの顔がいる。それだけのことなのに、なぜかほっとするものです。
瓜生さんを守ってくれてありがとう。
お浅ちゃん、あほまろはそろそろ帰りますよ。また明日ね。
バイバイ、貫太郎君。
声をかけて帰ろうとすると、お浅ちゃんがいつものように出口の方まで着いて来てくれましたよ。どうやら今朝も、あほまろのお見送りをしてくれるようですね。
ところで、貫太郎君は来ないのかな。
あそこにいるよ。
お浅ちゃんが見つめる方を見たら、貫太郎君は何やら大事そうにくわえております。よく見ると、かわいそうにスズメでした。どうやら人目につかないところに隠していたようです。
毎朝顔を合わせていると、貫太郎君もお浅ちゃんもすっかり親しい友だちのように思えてしまいますが、彼らは人間に飼われている鳥ではありません。浅草の街で自分たちの力だけで生きている、れっきとした野生のカラスなのです。
スズメを見るとかわいそうな気持ちになりますが、カラスだって生きていかなければなりません。人間の「かわいそう」という物差しだけでは測れない、これも自然の摂理なのでしょうね。
貫太郎君、朝ごはんの邪魔をしてごめんなさいね。あほまろは何も見なかったことにして帰りますよ。
明日の朝には、また何事もなかったような顔をして、瓜生さんのところで待っていてくださいね。